ふけとしこ膝に笙休めて四日暮れにけり
人日や折鶴の息抜くことも
菓子箱の底の金色松も過ぎ
井口時男雉一声枯野で年を越すつもり
ふるさとは神棚にぎはふ去年今年
あらたまの空蹴り上げて初ゴール
前北かおる(夏潮)東京に初雪ありて旅に出づ
食卓に余白のありて粥柱
待春の十色に余る千羽鶴
水岩瞳ふる里や初御空の碧いづくにも
箸二膳目を合はざすに御慶かな
書き込まれらしくなりけり初暦
読初や読み止しの本読み終わる
がらくた市胡散臭さを買初に
ふけとしこ膝に笙休めて四日暮れにけり
井口時男雉一声枯野で年を越すつもり
前北かおる(夏潮)東京に初雪ありて旅に出づ
水岩瞳ふる里や初御空の碧いづくにも
下坂速穂(「クンツァイト」「秀」)めくりてもめくりても海初暦
岬光世(「クンツァイト」「翡翠」)近況も知らずなりたる賀状かな
依光正樹(「クンツァイト」主宰)去年のこと引き摺つてゐる春著かな
依光陽子(「クンツァイト」)散らしたる蕾を鈴や初鋏
坂間恒子もっと奧は樹氷林なり初詣
田中葉月福寿草ほんの小さなでき事に
木村オサム遠い地球操縦席に鏡餅
乾 草川なつかしや薺打ちゐる父の家
小沢麻結初詣心にかかりつつ病めり
真矢ひろみ福沸ケトルに映る鬼笑ひ
浅沼 璞《歳旦三つ物》
渡邉美保お降りや月光菩薩の指の先