下坂速穂(「クンツァイト」「秀」)めくりてもめくりても海初暦
初場所や江戸に大火のありしころ
親指の太く大きく初仕事
岬光世(「クンツァイト」「翡翠」)近況も知らずなりたる賀状かな
七日なり清白の丈つつましく
みやげ買ふ繭玉揺るる先なれば
依光正樹(「クンツァイト」主宰)去年のこと引き摺つてゐる春著かな
古きこといつまで好きや鳥総松
初場所や裏道ゆけど大通り
いろいろな社を踏みて寒詣
依光陽子(「クンツァイト」)散らしたる蕾を鈴や初鋏
元朝のかほの映れる蛇口かな
塵芥のをどりまろびや初箒
鶏旦や群青強きねずみもち