2019年9月6日金曜日

令和元年 花鳥篇 第三(小林かんな・早瀬恵子・木村オサム)



小林かんな
夏霧に捺す漢委奴国王
将軍の一字拝領額の花
字の中に草国尸山滴る
夕虹や偏と旁がめぐり合い
金文を器に鋳込み夏の星


早瀬恵子
クリムトのラディカルにくる金の夏
忘れられ油団ゆとんの床のゆかしかり
花形の和事・荒事・令和三伏


木村オサム
全身の鈍痛のごと蟇蛙
黙秘する男の前の金魚鉢
天上の瀬音満ちたる蝉の殻
目撃者ごとに異なる蛇の丈
女太夫の隣の鬼火月見草