俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2019年9月6日金曜日
令和元年 花鳥篇 第三(小林かんな・早瀬恵子・木村オサム)
小林かんな
夏霧に捺す漢委奴国王
将軍の一字拝領額の花
字の中に草国尸山滴る
夕虹や偏と旁がめぐり合い
金文を器に鋳込み夏の星
早瀬恵子
クリムトのラディカルにくる金の夏
忘れられ
油団
(
ゆとん
)
の床のゆかしかり
花形の和事・荒事・令和三伏
木村オサム
全身の鈍痛のごと蟇蛙
黙秘する男の前の金魚鉢
天上の瀬音満ちたる蝉の殻
目撃者ごとに異なる蛇の丈
女太夫の隣の鬼火月見草
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