下坂速穂初便りにはお互ひの母のこと
店子いつ入れ替はりたる飾かな
どんど焚くけむりは蘆花の旧居へと
岬光世飾取る品川宿を後にして
小正月過ぎて売約済の花
帯留を愛でてもらひし女正月
依光正樹花街あり焚火をぢつと見つめたる
露地の人しやがんで立つて年詰まる
亡き人と冬あたたかき手拭屋
侘助や露地の途中に店があり
依光陽子のし餅のうんと言はする厚みかな
枝撥ねて一鳥枝に淑気かな
鳥のほか父母のゐる御慶かな
かめむしの白き半分寒暮かな
のどか大氷柱風のおらびを閉ぢ込めて
軒氷柱の雫となるや星の声
バラライカウォッカに氷柱つき立てて
水岩瞳雑の句を集めて久し師走かな
大安で締め括りけり古暦
初日記また書いてゐる今年こそ
初詣いつもの神社いつも吉
読初の一書「ポピュリズムの功罪」