俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2020年3月20日金曜日
令和二年 春興帖 第一(仙田洋子・曾根 毅・夏木久)
仙田洋子
春の鹿地軸のやうに傾けり
超新星爆発無音梅白し
梅白しわが細胞も新しく
雛人形みな正面を向く怖さ
カルメンの踏みつけてゆく落椿
影あれば影に佇み桜かな
永遠を追ひかけ雲雀揚がりけり
曾根 毅
瓦礫より赤い毛布を掴み出す
死んだ人らの拍手のようにかぎろい
春めくや坂の時間が長くなり
夏木久
春立ちて入るか出るかの手がノブに
コンタクトその涙目を鳥帰る
行旅死の百円ライター春燈
立春や隙間に水を流し込み
永眠は家出するやう大人しく
箸置きに山背のこと大和のこと
ノートには戯画も寺もの記憶あり
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