飯田冬眞臘梅や含羞の色
あくびして虚無を身に飼ふ恋の猫
愛の日のわが影乾き始めをり
小沢麻結夜開く花に似て雲春立ちぬ
輪を半歩外れ立ちたり新社員
ポケットから洗濯挟み姫女菀
坂間恒子イスラエルヘ帰る人あり朝桜
朝桜ほどよきところ梯子かな
はっきりしないのが勝か李の花
網野月を薄氷あの子に踏まれるまで待って
出目金は遠い親戚ムツゴロウ
言葉遣いの知らない人と花疲れ
膝替えは兄弟弟子や弥生果つ
西東忌吾は孫弟子でありにけり
遅日の象師の面影を追っている
祈るとは諦めぬこと染卵
井口時男春風やクラリモンドは自転車で
シャボン玉子らと子雀跳ねやすし
天地の開けておたまじやくしかな
我や悪相雪柳の花扱き取る
ウイルスの春ひつそりとケバブ売
春の雪はだらまだらに世界病む
惜しみなく無人の街の夕桜
中村猛虎三椏のどの道行けどフラクタル
花の下抱き寄せようか押し倒そうか
卒業歌終えて少年のジハード
菜の花の濃厚接触しているか
春の夜の発音できぬあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛