網野月をこどもの日此処だったかな秘密基地
おとといはあれだ親父の誕生日
元カノの後ろ姿や夏きざす
夏めくやバッティングセンターの割引券
通販のドガのレプリカ花は葉に
睡蓮の鉢を沈める怒り肩
葉桜に未来というの来てしまい
前北かおる(夏潮)物忌になぞらへて夜々おぼろなる
忌籠の日数のつもる春埃
応援の如くに布団叩く春
井口時男歳時記に君の句ありと花あせび
八年経ぬ死にたればまたヒヤシンス
マスクして寡黙な春となりにけり
花盈ちて虚空波立つウイルス禍
空咳に小鬼さゞめく花明り
蝶落ちて鱗粉の街メイド服
さながらに陽光散華叫天子
山本 敏倖菜の花に辿り着いたる我は誰
自撮りする背後は古代桜かな
さえずりの平行棒は変体仮名
殿様蛙古城のように身構える
火焔土器をふっと離れし烏揚羽