2020年10月23日金曜日

令和二年 夏興帖 第十二(川嶋ぱんだ・中村猛虎)



川嶋ぱんだ(樹色、つくえの部屋)
水眼鏡してアクリルの向こう側
峰雲が分厚く白くピアノ弾く
虹がでるまでまちぼうけ白い雲
薫風が吹いて午後から椅子だらけ
捨て積まれゆく文春の紙魚だらけ
横たわる頭を蛞蝓がわたる
天井を煙草の煙這う蜈蚣


中村猛虎
一畳に足りぬ棺桶道おしえ
姿見の中で口開く原爆忌
中年の肉のはみ出す虫籠窓
カフカ読み終えれば足下の出水
爆発してこその爆弾草いきれ