俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2020年10月30日金曜日
令和二年 夏興帖 第十三(小野裕三・佐藤りえ・筑紫磐井)
小野裕三(海原・豆の木)
蜘蛛の巣に架かる幽霊みな透明
礼拝も口づけもなき薄暑かな
自転車の荷台に置かれパイナップル
浜木綿やヒッチハイクの二人組
岬へと当てずっぽうの径灼ける
佐藤りえ
水菓子に文添へてある映画かな
夏河にイルカの群れのやうな雲
猫のよぶこゑ 素手でさはつて良いものか
筑紫磐井
夏座敷妻がまる見えだから不安
少女s(複数形)脱いで 蛾となったり 蝶となったり
君が飲む私の溶けたソーダ水
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