杉山久子列柱のひとつに凭れ春の闇
陽炎の奥の扉は地へつづき
夢殿を出でくる桜吹雪かな
網野月をブランチのホットコーヒー月曜日
火曜日の雨の日の朝火の匂ひ
水曜日小雨はやがて花曇
木曜日週に一度の出勤日
リモートは隠れ休日金曜日
独りぼっちの土曜日が来て春日和
四月とは毎日毎日日曜日
木村オサム同姓の表札眺む春の昼
囀りや抜糸したての後頭部
陽炎の端でどっちつかずの挙手
朧月みな浄瑠璃の顔になる
仰向けに寝るは人だけ春の虹
ふけとしこ定位置に箒塵取り朝桜
はなびらの落ち着く先の無きままに
桜蘂流れて二羽の鳰