下坂速穂花の雨花の嵐となりつつあり
空にありし枝を集めて烏の巣
つつ立つてゐるは燕を見てゐたる
青葦や人は遠くへゆきたがり
岬光世葉桜やバックハンドがまだ苦手
硝子戸の閑かに昏き杜鵑花かな
浜木綿の花もやもやと咲き初めて
依光正樹春禽のよく鳴くこゑもおもてなし
鰻食うて旬の花々活けもして
日々のもの食うてうれしき夏料理
水草の花やあたりをうち鎮め
依光陽子叢雨や砂を噛んだる野梅の根
うぐひすや色を少なく咲く庭に
かなしみの消し方茅花流しかな
ふりほどく光は夏のかもめかな
網野月を記入漏れの生年月日若葉騒
ハンカチもリボンも黄色麦の秋
梅雨流すステンレス製すべり台
誕生日に満期の定期夏至る
白ワイン赤でもショーレ薄暑光
うかつにも女性専用車に雷火
欲張りな女神に捧ぐ火取虫