2021年11月12日金曜日

令和三年 夏興帖 第九(妹尾健太郎・渡邉美保・下坂速穂・岬光世)



妹尾健太郎
はるばる来たる祭の鼻の穴
そらまめのそらしどれみふぁそらのいろ
下り来て後ろびっしり蕗の丘
辣韮にチャンスとピンチある如し
縦のもの横にしてみる大暑かな


渡邉美保
完熟のパイナップルにある狂気
空蟬の背に仁丹を詰めてみる
瓜漬の真青なる色露伴の忌


下坂速穂
宿へゆく道にいくつか鮎の宿
箱らしきものを並べて鮎の宿
汗拭いて露地に昔を見てをりぬ
白雲の灼けて真白き雲になる


岬光世
サングラス掛けて娘の手を借りぬ
甘辛くにほふ川風アマリリス
枇杷の実の熟るる家なり立ち寄らず