俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2021年11月12日金曜日
令和三年 夏興帖 第九(妹尾健太郎・渡邉美保・下坂速穂・岬光世)
妹尾健太郎
はるばる来たる祭の鼻の穴
そらまめのそらしどれみふぁそらのいろ
下り来て後ろびっしり蕗の丘
辣韮にチャンスとピンチある如し
縦のもの横にしてみる大暑かな
渡邉美保
完熟のパイナップルにある狂気
空蟬の背に仁丹を詰めてみる
瓜漬の真青なる色露伴の忌
下坂速穂
宿へゆく道にいくつか鮎の宿
箱らしきものを並べて鮎の宿
汗拭いて露地に昔を見てをりぬ
白雲の灼けて真白き雲になる
岬光世
サングラス掛けて娘の手を借りぬ
甘辛くにほふ川風アマリリス
枇杷の実の熟るる家なり立ち寄らず
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