眞矢ひろみAIの狂走止まる芒原
柿剥けばしづかに充ちてゆくちから
古伊万里の秋の金魚になりすます
誰何受く昇りきったる銀漢に
水澄みて三千世界迫りくる
岸本尚毅外を見る猫を我見る秋の暮
歯を見せて太刀魚長し鯛の辺に
日は釣瓶落しや蜂は狩りながら
信厚く羊羹食うて秋遍路
柿供ふ白く綺麗な空海に
這ふ蟻に熟柿の皮の裂目あり
帽の子に秋潮深く澄めりけり
小沢麻結ドビュッシー聞こゆるロビー秋の夕
虫時雨二階の浮かみゐたるかな
実椿や渡し場跡は川遠く
下坂速穂おはやうとおはやうさんと冬支度
深秋の紅き蕾や明日も蕾
花と花噛み合うてをる曼珠沙華
すぐそこのはるかな月の光かな
岬光世葉を影に影を楓に秋澄めり
無風なる人を離れぬ蜻蛉かな
仙人掌の爪立つときを星流れ