俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2022年6月10日金曜日
令和四年 春興帖 第七(ふけとしこ・前北かおる・松下カロ・渡邉美保)
ふけとしこ
印影も記憶も薄れ春の鴨
菫濃し手に載るだけの石拾ひ
須磨浦や菫に風の吹きつけて
前北かおる(夏潮)
着陸の窓を引つ搔く春の雨
うららかやへうたん島の滑走路
モッツァレラチーズのピッツァフリージア
松下カロ
青き踏むビロードの中国靴で
たんぽぽの絮ことごとく川へ落ち
建てるため何か壊して春の丘
渡邉美保
透きとほる幻魚の干物春北風
くろもじでつつけば鶯餅の鳴く
下萌えや置きつぱなしの絵具箱
次の投稿
前の投稿
ホーム