俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2022年6月3日金曜日
令和四年 春興帖 第六(眞矢ひろみ・竹岡一郎・ふけとしこ)
眞矢ひろみ
親ガチャに子ガチャと応ふ夜鷹かな
山雀の籤映る眼の恐ろしき
うららかに無用のありぬ橅林
春暁の夢の小径を瑠璃の象
竹岡一郎
涅槃会の鏡の夢が淵の渦
半生をよくぞ薄氷歩み来し
花篝散らす女系の血の鱗
反橋の頂きに照る花衣
空海忌印やはらかく結ぶべし
刃を入れて貝の震へを聴く暮春
惜春の蹄を支へ崖の意志
ふけとしこ
印影も記憶も薄れ春の鴨
菫濃し手に載るだけの石拾ひ
須磨浦や菫に風の吹きつけて
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