加藤知子日本哀歌蓮ひらかねば銃を撃つ
日盛りの弥栄の
夜の雷鳴元宰相を輝かす
安全神話を石棺に供す星祭
仲寒蟬蠅生まる憎まれ叩かるるために
まやかしもあやかしも連れ夜桜へ
南家より北家へ蕨とどけらる
白鷺の捕食者の目に見られけり
掌の上に啓示のごとく蜥蜴の尾
屑金魚などとよばれて元気なり
遠縁は黄河にをると梅雨鯰
望月士郎たんぽぽのわた吹いている測量士
手紙を書くときおり蛍狩にゆく
父さんの言った言わない胡瓜揉
昼の月仰向けに蟻に運ばれて
噴水にどしゃぶりのきて笑い合う
なつやすみ白紙に水平線一本
少年の脱け殻あまた青葉闇
網野月をペトロ祭生まれ変はりの小漁師
日盛の電信柱すでに人
病葉を堕とさぬやうに柾立つ
石竜子の子築地の藁に獅噛みつき
夕顔や今は稔りて古女房
向日葵やハートいつぱい随へて
甘いトマトは嫌いな人です自炊派です
渡邉美保水底も櫻待ちをり魚群れて
車前草を踏んで手足の老いにけり
薄衣や和泉式部の墓の前