早瀬恵子山高帽バイセクシュアルな薔薇の棘
スペイン語の愛称は「ガタ」夏の猫
エポックを愛せよ鱧の俳句バー
蔓は西に遠回りしてクレマチス
辻村麻乃耳鳴
隧道の壁を殴りて梅雨に入る
風雲児連れて来らるる滝の前
胎内にシャーリラといふ木下闇
大ぶりの葉より大暑の風貰ふ
リンパ液揺れ蝸牛管まで蝉時雨
立葵立つる音まで嫌になり
自転車に置き忘れたる竹婦人
大井恒行影の夏天地に被曝あらしめるな
眼には眼を 願いはるかや魂祭
重信房子白い小さな鶴折ると
仙田洋子押し寄する貌・貌・貌や油照
原宿の赤ゆるぎなき氷水
祭の子おほきな人とぶつかりぬ
山車過ぎてまた天丼を食べ始む
人逝きてほろほろのうぜんかずらかな
どしや降りの一茎高き蓮の花
白扇の空を招いてゐる如し