2022年10月14日金曜日

令和四年 夏興帖 第三(ふけとしこ・なつはづき・小林かんな・神谷 波)



ふけとしこ
陵の草を刈らんと舟を出す
首筋へ蝉声寺の屋根が反り
山号は知らず涼風いただきぬ


なつはづき
蟷螂生る強運奪いあうように
姫女苑飛ぶには小さ過ぎる風
運び屋の帰りを待っている金魚
ハイビスカス現地時間であれば恋
すいかずらそっと引っ張る男運
チアガールのえくぼに夏の陽が溜まる
ずかずかと猫に踏まれる暑気中り


小林かんな
蒼朮を焚くくれないの蔵書印
ほととぎす人の子供も食べさせて
日日草地蔵の目鼻石に溶け
はも祭屏風の中に川小さし
コンチキチン昂ぶりのまま髪洗う


神谷 波
きまぐれな雨にざわつく青芭蕉
好きな言葉「明日」やまももシャーベット
強烈な日差し毅然と咲く蘇鉄
明易し狐にサンダル偸まれて
砲弾が飛び交ひ向日葵咲き乱れ