小沢麻結打水や濡れていきいき足の指
揚羽蝶見返す暇に見失ふ
ぐんと寄る峰雲初めての乗馬
小野裕三傷心に虹と名づける選択肢
靴多き体操教師午睡かな
ゼリーとゼリー運ばれてくる食堂車
麻服を着て見殺しにしていたり
誰もかも歯並びのよき浴衣かな
観音に立ち姿ある雲の峰
噴水を待つ間のオーデコロンかな
曾根 毅瀧迅し我の時間と異なれり
蛇苺人間の皮垂れ始め
肖像画青葉の闇に委ねられ
岸本尚毅海光ることさへ暑き港かな
冷房のロビーに浮輪提げて待つ
戦隊のレツドを名乗る日焼の子
昼のことふとなつかしき夜釣かな
手で落す夏の落葉や作り滝
草のやうに薔薇が咲きをり避暑の日々
裏山に仙人草やうなぎ焼く