俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2023年6月3日土曜日
令和五年 歳旦帖 第九(依光正樹・依光陽子・佐藤りえ)
依光正樹
初空のひるがへりたる砂時計
年の瀬や打ち残しある寺畑
見渡してまた家々の年詰まる
ひとりづつ枕のありて年の逝く
依光陽子
親指が剝いてゆきたる蜜柑かな
粘菌のやうに光らむ初御空
火の熱く煙の寒き伽藍かな
単音も和音も寒し耳は海
佐藤りえ
大年を歯痛と供に越えゆけり
歩調稍はづんでしまふ年の朝
音もなく犬の睫毛に暮れてゆく
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