山本敏倖春うらら四分音符らと街へ行く
青だけの空に貼りつく飛花一片
骨格に浮力を付ける花明かり
陰陽はとろいか春の腹話術
ぎやまんの奥の奥へと麦を踏む
小林かんな弁財天へ橋もり上がる花筏
物種蒔くこの地に都永くあれと
大陸の裳裾を絡げ潮干狩
ひこばえる命婦侍従のみな低く
峡越えくる田螺売も花嫁も
浜脇不如帰十字架は花火かバラエティ豊か
脇にキズ鮎にカルシウムが足らず
扇ぷう機それが自転の精一杯
じょうねつが炎えさかるほど水鉄砲
はれわたる月水金の雪解富士
空腹が兄弟のいくさを起す
「十」が天圀江の鍵やおとしぶみ
仲寒蟬梅嗅いで発掘現場へと通る
夕桜旗亭に死すと年表に
クラスには翔平ふたり入学す
二流国などと自虐を目刺食ふ
亀鳴くや原子炉は地にうづくまり
春眠や涎たふとし老僧の
林檎咲くロシアを嫌ひにはなれず