2023年7月14日金曜日

令和五年 花鳥篇 第一(五島高資・杉山久子・神谷波・ふけとしこ)



五島高資
占ひの館に紛れ込むさくら
那須の水ふくみて天に花杏子
田水張る前に鎮まる真土かな
田を植ゑてより高天原そよぐ
麦秋や空のそこひは戦ぎけり
月影に空き家あります花芭蕉
日高見の光を洩らす雲の峰


杉山久子
チューリップ黒き花粉を花の内
返却日過ぎし本ある薄暑かな
新茶汲む師のなき時間送りつつ


神谷波
春遅々と鳥宿り木を突きけり
鶯のしきりに鳴いて暮れかぬる
いのち全開石段の落椿
いちはつや泣き虫弱虫大丈夫
   

ふけとしこ
鷹の化す鳩かも赤きアイリング
鳥の巣が生中継に写り込む
諸鳥のこゑくぐりきて豆ごはん