俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2023年7月21日金曜日
令和五年 花鳥篇 第二(山本敏倖・小林かんな・仲寒蟬)
山本敏倖
飛花二片紺屋町へと迷い込む
根本さん
家
(
ち
)
のつばくろで通じます
骨格に浮力を付ける花明かり
たましいの裏側路地の濃紫陽花
その微笑守宮のように懐かしく
小林かんな
酒は辛口六甲に山滴る
春陰を船出すように蔵人ら
だんじりの金よ五月の雲映る
魚崎の魚影の速さ花くるみ
青簾下ろして松子夫人は留守
仲寒蟬
先代の夜逃げの話田螺和
山中に巨大パラボラ風光る
寄居虫に体当たりされポリバケツ
球審の拳の先を初つばめ
たんぽぽの絮八十億人の星
下手な歌けふも聴かされ熱帯魚
筍を焼きをる方が拾得か
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