俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2023年12月22日金曜日
令和五年 夏興帖 第九(眞矢ひろみ・渡邉美保・網野月を)
眞矢ひろみ
蛍の夜闇より薄く老夫婦
旱星母犬の乳垂れ揃ふ
藍浴衣十万億土の端っこに
凋落の世や夕凪を授かりぬ
一掬の金魚は旅の目を持てり
渡邉美保
青野では魚の貌めくふたりかな
風景の隅つ子にある貝風鈴
清掃課去りたる後の草いきれ
網野月を
平均率は無理な数なり今朝の夏
白牡丹中華料理は好きですが
女王とはあたしのことよおほ牡丹
二の腕の水を弾いて夏はじめ
水茄子の刺身を食らふ島暮らし
秋口や色深くなる小さき葉葉
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