淺津 大雅(「ふらここ」)城端むぎや祭三句
犬に夢中なり踊笠背負ひたる子
旅行者の撮る旅行者の笠踊
節の間に地へとんと突く踊笠
東尋坊三句
露草や風に靡かぬ句碑三つ
青北風や崖上に子をかゝへ立つ
東映の三角出てきさうな海
仮屋賢一(関西俳句会「ふらここ」代表)村芝居犬啼くたびに驚けり
きちきちのいちいち刻をすすめゆく
咲くときはまだ風知らぬ秋桜
弟子とらぬ貌の案山子の傾ぎをり
秋没日褒め合ふときの敬語かな
衣被名を訊くためにまづ名乗る
こほろぎや遅れて点きし厠の灯
大瀬良陽生七夕や来世は何に生まれよう
蚯蚓鳴く星の見えざることに慣れ
天高し番狂わせを成し遂げて
爽やかや居合の親子向かい合ふ
日の丸く出て半月を生みにけり
卵焼き買ふ贅沢や秋の暮
神谷波冬瓜を食べやすやすと眠りけり
稲妻や瞬きゆつくりアンドロイド
肉付きのよき舞茸の下半身
かろやかすぎ敬老の日の竹とんぼ
仲寒蟬八月や南を上にアジア地図
星辰のずれる音して渡り鳥
跫音を聞かれてはだめ曼珠沙華
露けしや猫が水飲む舌の音
ストローをのぼる液体今日の月