2016年1月15日金曜日

平成二十七年冬興帖 第八 (真矢ひろみ・堀田季何・小沢麻結・筑紫磐井)



真矢ひろみ 
極月の女衒にまぎれ行かむとす
歌舞伎町悴む白き指の反り
聖夜かな球体関節軋みをり
義体にも微熱かむなぎ凍る夜
地の果てや白き聖歌の少年兵



堀田季何(澤)
神は留守いえ最初から不在です
襟巻と目覚めてみれば安特堤
浮寝鳥といふ白河夜船かな



小沢麻結
落とさじと挟む菜虫の置きどころ 
冬至湯の手縫優しき柚子袋
羽子板市寒々と見て人去ぬる




筑紫磐井
少し死んでゐる魚を買ふ十二月
夢に見し日本橋なり雪が降る
老人性鬱の冬靄にも朝日
うつとりと吸はれてみたし雪女郎