もてきまり一人居の浮雲気分去年今年
擦寄りし倦怠の猫大晦日
つまりその草石蚕ほどの病あり
小林かんな催馬楽の背中に乗って初雀
髪留を直す破魔矢を預けては
あらたまの嘴天へひらきけり
堀田季何(澤)ぐちよぐちよにふつとぶからだこぞことし
初鴉沈黙す影失ひて
双六や道外れても道の上
杉山久子初凪へジャージのライン蛍光す
双六のジブラルタルを渡りをり
ブルーインクの言葉満ちゆく淑気かな
曾根 毅(「LOTUS」同人)風の中山を削りて年用意
初茜仮設住居を覆し
三の糸その儚さを初鏡
夏木久コンセントに埃のたまり出埃及記
そのノブを回せば春に違ひなし
裏漉しをして晴れやかに冬の影
ロボットに替はれる神が宝船
迷宮を眺めてをれば冬花火
初雪や地球人と酌み交はす
影広げもつと光を春隣