堀本 吟初風や明日香猿石目口耳
猩猩蓬髪ひとすじの道うねるあやうし
またも読む相互扶助論犬と猿
渡邉美保初凪や文旦の木に文旦が
御鏡や日の差す朝のストレッチ
田平子に叡山の水流れ来る
林雅樹 (澤)憧れの俳人宅や輪飾盗る
初詣に燥ぐ地元のグループが
雨やみて土の匂ひや初詣
よく吠ゆる隣家の犬や姫始め
復縁を迫る元妻血の正月
小野裕三 (海程・豆の木)端々の少し明るくお元日
パーキングの奥に連なる墓地に初日
会館の朝の匂いの七日かな
人日の煙の外に肉親住む
もろもろを掲げる大根まつりかな
ふけとしこ初夢の肩肘張つて覚めにけり
海鼠壁に剥がるるところ初鴉
鴨鍋へ座る錆朱の重ね衿
木村オサム (「玄鳥」)ぽっぺんや誰も知らない島生まる
岩礁にのたうつ人魚初明り
人日の臍の奥から海を見る