仲寒蟬初夢の中で仕事をしてゐたり
地震ではなく初湯の揺れてをるがよし
獅子舞にヒップホップの癖すこし
初夢のかならず最後には走る
初鴉神武を知つてゐる面持ち
曾根 毅孤独死のあちらこちらにしずり雪
冬瀧や巌を畏れて引き返し
雪囲い皆一様に衰えて
松下カロいちまいのたましひ狂ふいかのぼり
白魚が喉を越えゆく山河かな
沈黙は吹雪に似たるチェロソナタ
椿屋実梛四日はやバーカウンターに沈思して
梅が香にむれつつさらに奥へゆく
初霞あれは恋だつたに違いない
前北かおる(夏潮)校倉に飾り錠前竜の玉
差し入るる指の先に竜の玉
竜の玉三日月形の傷もちて