2017年3月24日金曜日

 平成二十九年 歳旦帖 第六 (小沢麻結・池田澄子・陽美保子・内村恭子・小野裕三)



小沢麻結
踏まれたるより光初め霜柱
けんちんの大鍋煮ゆる初閻魔
初不動火の粉火柱湧き上がり


池田澄子
二人して寒しと月を斜め上
ひかり眩しく愛は煩く返り花
蓮根の穴の空気を解放す
馬車馬の昔ありけり雪へ雪
ぼたんゆき神よ父よと口に出さず


陽美保子(「泉」同人)
骰子の一の目の出る淑気かな
絵双六京の名所に休みけり
絵双六狂歌を詠めと言はれても


内村恭子 (天為同人)
青空を忘れがちなり年用意
羽子板市異国の王女描かれて
数へ日や神保町に山支度
大きからむ洪積世の初日の出
次々とピザ焼き上がる四日かな


小野裕三(海程・豆の木)
頭骨標本日陰に連なり大晦日
宝舟遠来しんじつ笑うは誰
骨董市に王様の首冬木立