杉山久子ぼんやりと猫の耳ある初写真
饅頭の黄粉飛び散る初句会
アマゾンの倉庫を出づる初荷かな
田中葉月数の子を噛む子の音の大人びて
脇役に甘んじてをりごまめのめ
万両の一段高きに御座しけり
笹鳴きの小さき石にも日の当たれ
もういいかいまあだあだよう福寿草
石童庵初みくじ開く最中のおまけなり
産土で買ひて小吉初みくじ
二日早や三つ目のおみくじを引く
四つ目を引いて凶なり初みくじ
やつと意に叶ふ五枚目初みくじ
真矢ひろみぽっぺんのぽこの悦楽ぺんの闇
いっそ乗ってしまうか初湯のうつろ舟
五里霧中ですから淑気逆もそう
竹岡一郎寒紅の眠りに家のほどけゆく
祀らるるためかまくらに入る老女
かまくらを囲む顔色あをい奴等
かまくらがきりなく呑んでめのこたち
かまくらを出るが不良のはじめ也
この夜の木霊うましと寒紅さす