飯田冬眞妻の家の猫も顔出す年賀かな
砂漠へと続く戦車や初霞
太箸やまづ横にされ開かるる
小林かんな春自動起床装置のふくらみぬ
日に幾度水蒸気梅押しひらく
下萌ゆるかの腕木式信号機
ホキ二二〇〇形貨車陽炎うか
墨にじむ荷札樺太鉄道の
山本敏倖(山河代表・豈同人)みずいろの表面張力初明り
お雑煮に告げ口三つ入れておく
この星の海を足下に置く初日
初夢を袋詰めして万馬券
たましいに浮力生まれる初日の出
林雅樹(澤)石塀に水滲みだせる二日かな
初句会機嫌そこねて帰りけり
旅人と十六むさし負けたら死
破魔矢もて別れし夫を襲ふ女
勃起したペニスに輪飾かけて歩く男
原雅子小浜線いづれの駅も昨日の雪
つまらぬ屋上つまらぬ給水塔冬だ
きさらぎといへばどこかが疼くなり