岬光世(「クンツァイト」「翡翠」)人のゐて人住まぬ島栗の花
捩花や蝶は惑はぬ迷ひ道
夜の更けていよよ淡きは仏桑花
依光正樹(「クンツァイト」主宰)草ともにそよぐがありて著莪の花
水使ふ音のかそかや額の花
額の花よく根がついてうつくしく
ゆく鳥に花を摘みたる女かな
依光陽子(「クンツァイト」)野のものに弔ひもなし杉菜生ふ
彼方より低く来る蜂かきどほし
尋ぬるに番地が頼り花水木
朝顔の苗に蛇口をひねる頃
近江文代サボテンを切れば昨夜の水滲む
芍薬の光の束を信頼す
金魚得て水の膨らむ夜であり
某日を人を焼くように繭を煮る
生きている十本の爪青山椒