網野月を冬日受く帝国ホテルのゴンドラ
増す光荒男の背に芝枯れる
頃合いに沢庵石を取り換えて
朝に晩に風呂上りにひび薬
冬休み自由であるを強制す
大寒や家鳴り下の方からも
手入れして魚眼広角春を待つ
小沢麻結遠雷は再び呼ばず冬薔薇
銀行にかつて算盤膝毛布
鉄砲洲東百閒雪もよひ
坂間恒子裸木にあまたの触手水かげろう
冬蝶に傷サンダカン作家死す
砲弾のごとくみがかれ冬の鯉
佐藤りえ蒲団着てコスモロジーを読み耽る
枯園へ埋めた死体を確かめに
変拍子いよいよずれて冴ゆるかな
小石川二丁目汚すぼたん雪
筑紫磐井焼芋を讃ふすべての税引後
知育・食育衰へて冬没日
開戦記念日よくなつてゆく痔のゆくへ