飯田冬眞パック酒くしゃりとつぶし初日の出
初筑波祈る角度は鋭角に
鼻歌の優しきうねり初御空
骨密度減りゆく母よなづな打つ
福耳を揺らす作務衣や喧嘩独楽
放浪の芙美子の庭に福寿草
たたかれて猛る火もありどんど焼
辻村麻乃無骨なる若者鯛焼に並ぶ
色色な野菜の星や白シチュー
羽子板市邪鬼も悪鬼も叩かれず
歳晩や道で荷物を出す女
梳初や背後に誰かゐるやうな
幣揺るる工事現場の初茜
椅子の背にコート掛けたるサンルーム
夏木久寄せて返す波打ち際の室内楽
飛び乗りし夜行ソナタの淋しさよ
かみしものすけるかみしもすけるかみ
かくかくしかじかかみしものかみしたもゆる
はらきりしこおにたびらこほとけのざ
脳裡の月光ソナタより水の漏れ
ペン先に圧加はりぬ春の夜
杉山久子初旅や左足よりはじめたる
牛日の既読スルーを眺めをり
何にでも「平成最後」餠伸びる