2019年11月1日金曜日

令和元年 花鳥篇 第十一(望月士郎・花尻万博・中村猛虎・青木百舌鳥・佐藤りえ・筑紫磐井)



望月士郎
ガラス器に根の国みてる春夕べ
朧夜のやがてやさしい鰓呼吸
はつなつのとてもきれいな永久歯
病棟に白い汀が潮まねき
なめくじのために一行開けておく


花尻万博
さよならは手長蝦に返しけり
お祈りの列に続いて見る蛍
筍を授かる小雨聞こえている
木の国の干ぜんまいと飛びゆけり
落ち合ふといふは賑やか藤の花
一升瓶光り光りて鹿の子に


中村猛虎
だるまさんが転んだ空に飛花落花
多動児の重心にある向日葵
亡骸を洗うガンジス紅黄草
ああ言えばこう言い返す通草かな


青木百舌鳥(夏潮)
枝渡る子猿を見をり若葉風
軽トラの白の清らか茶山ゆく
鯉のぼり鰻のぼりに鮎のぼりも
田を植ゑてそれを撮るとて坂駆くる


佐藤りえ
のどけしと眉間を揉んでゐるところ
ドラゴンとコモドドラゴン相見て花
草嗅いでむかし戦のあった場所


筑紫磐井
六道の盆歌なれどなつかしき
白日傘ダムに浮んだドラム缶
風殺し親を殺して炎暑来る