2021年4月2日金曜日

令和二年 冬興帖 第十(早瀬恵子・家登みろく・佐藤りえ・筑紫磐井)



早瀬恵子
 追悼句
虹のかなたに美美さんのバスケット


家登みろく
極月や行く人なべて荷を運ぶ
枯葉吹き入るや飯屋に客入る度
鯛焼きの背ビレの硬さ友を待つ
濡れたやう寒夜の新のアスファルト
白鳥の離れふたたび水黒む


佐藤りえ
葱の字の心あやふくたうとけれ
犀抱くちひさな牛や冬銀河
雪踏の背中明るく暗く立つ


筑紫磐井
  眠る兜太
異形畸型の詩を生んだひと二月尽
狼星張りこんでゐて犯罪つみ未だし
我が視野を白き邪魔者時々殺意