2022年5月6日金曜日

令和四年 春興帖 第二(なつはづき・山本敏倖・杉山久子)



なつはづき
ぼたん雪碁石を打つように余命
建国日癖毛をまっすぐに伸ばす
安吾忌や言葉くしゃりと捨てる夜
羽衣の影を映して春の水
毎日が誕生日めく雪解川
モビールの影揺れている蝶の昼
蛇穴を出る親知らず抜きに行く


山本敏倖
花の冷埴輪の馬の濡れている
曇り空をだまし絵にする杉花粉
感情に目あり耳ありおぼろあり
陽炎の影法師なりカンツォーネ
花筏古今集より流れ出る


杉山久子
鳥雲に帽子ケースの中真青
うららかや最後はぱふとマヨネーズ
てふてふやコトノハいつも追ひつかず