仙田洋子みどりごにさくらさくらとささやきぬ
春の鹿きれいな人の傍らに
オルゴールに蝶を隠すといふ快楽
春灯や大きくなりし子の匂ひ
もそつと近うもそつと近う蟾蜍
螢袋からちよつとだけ顔を出す
噴水を水のびつくり箱と思ふ
大井恒行鳥を生みし空の蒼さや花空木
青葉潮に降る雨さみしさみしがる
日焼け子のかの面影や髪ゆたか
北川美美菜の花と一緒に茹でるスパゲッティ
花の夜のTV画面も桜色
わたくしもしばらくここに花に鳥
早瀬恵子(同人誌「豈」)アイリスの髪ゆたかなるミュシャ・カフェ
ロボットのふりする肉球アイ・ラブ・サマー
はからいの唐破風なりあじさいも
杉山久子花の闇猫のからだとまじり合ふ
五月来る鳩のふるへの地に満ちて
鉄の輪をくぐりアマリリスに屈む
曾根 毅眠そうな蜆の影を見ておりぬ
恥骨まで轟き渡り薪能
雨音か瀬音か我か五月闇
坂間恒子花種を蒔く手をあげる影法師
白藤に少年のジャンプとどかざり
白藤や遣欧使節ひかりあう