2018年3月23日金曜日

平成三十年 歳旦帖 第三(真矢ひろみ・北川美美・西村麒麟・曾根毅・青木百舌鳥・小沢麻結・前北かおる)



真矢ひろみ
父と子とコンビニ弁当初茜
初空やマレビトを待つがらんどう
水流る音は言葉に初寝覚


北川美美
嫁が君一秒で着く隣かな
嫁が君テディベアーと眠りけり
嫁が君亀の背中に乗せてやろ


西村麒麟
平面の広がつてゐる初景色
手毬唄我が靴下の派手なこと
狐火をほれぼれ見るや初句会


曾根毅
傍らに二人を育て薺粥
寒月光松に習えば松に消え
降る雪や影だんだんと濃くなりて


青木百舌鳥(夏潮)
初旦真魚箸の盛る貝の音
曳猿の立ちてとつくり見回しぬ
うす墨となり雪原の川消ゆる


小沢麻結
初夢は忘れ悲しみ残りをり
天蓋の天女へ火の粉初不動
初句会吾に掛替へなき仲間


前北かおる(夏潮)
ふつくらと御殿の御屋根松の内
初句会披講の籤に当たりけり
白妙の湯煙ゆたか雪見風呂