2018年3月16日金曜日

【歳旦帖特別版】金子兜太氏追善・参(長嶺千晶・大井恒行・堀本吟・小林かんな・渡邉美保)



長嶺千晶
造型壊すとき狼の山河
   

大井恒行
かの春に近代主義者だって?と詰め寄る兜太
     約束を果たせぬままに逝きたる兜太
大正八年以来の兜太雲に鳥


堀本吟
現代俳句協会入会当時二十余年前の思い出
まみえしに破顔一笑「暴れてください」
  人体冷えて東北白い花盛り 金子兜太『蜿蜿 』
「人体冷えて」と口ずさみつつ花を見る
戦後否戦前の春や否や兜太


小林かんな
旅立ちを知らず野の花摘んでいる
ひとびとに遺る大きな種袋
きよおと哭いて列車は春をどこまでも


渡邉美保
声に出す兜太の一句春の雲