2018年8月24日金曜日

平成三十年 夏興帖 第二(大井恒行・曾根 毅・網野月を)花鳥篇 追補(早瀬恵子・浅沼 璞・北川美美)



大井恒行
掘り進む夏 地球のみやこ出で来たり
青空に季(とき)ながく触れ夾竹桃
花づなの島に棲みつつ鸚鵡かな


曾根 毅
空蟬や音を立てずに崩れ去り
夏の蝶大方はメルトダウン
何処まで釈迦の声する百日紅


網野月を
持ち運ぶ略礼服や日の盛
天花粉「生まれる」は受動態
片陰の反対側の喫煙所
もしかしてあのビル斜め日の盛
食べること食べられること冷素麺
蝉時雨連休明けは休園日
夏の月廃刊間近の雑誌買う



花鳥篇 追補

早瀬恵子
春ゆけり万葉カクテルのパレット
咲きましてうすむらさきの美童なれ
平成の一休さんの囀りし


浅沼 璞
くわふんくわふん春風亭のやうな顔
ハンガーがからまつてゐる杉花粉
羽織ぬぐ春風亭杉花粉かな


北川美美
引き寄せて桜の実なり潰し嗅ぐ
之布岐咲く日増に雨の重くなり
紫陽花の青がまばゆし夜目遠目
山鳩の声くぐもれる夏の朝