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2016年7月22日金曜日

平成二十八年春興帖番外卒業帖   坂間恒子



        坂間恒子
教室に風のあつまる卒業期
農場に林檎の苗木卒業す
繃帯がちらつく  遺影卒業す

2016年5月20日金曜日

平成二十八年春興帖番外・卒業帖 第八 (依光正樹・依光陽子)



依光正樹 
卒業や小鳥の籠に手を入れて



依光陽子 
水槽の水景に奥卒業す
卒業の朝の蕾といふ異物
卒業の背中に街を映してゆく
卒業や置いて来し場所いくつかは
ただいまと言ひ卒業てふ言葉捨つ




2016年5月13日金曜日

平成二十八年春興帖番外・卒業帖 第七 (水岩瞳・筑紫磐井・北川美美)



水岩瞳
試単片手に卒業式を粉砕す
     ※試単(しけたん)は、「試験によく出る英単語」
式はなし卒業証書手渡され
何からの卒業だつたか雲に鳥




筑紫磐井
しこめでもさなぎは蝶に 卒業す
入学も卒業もみな同じ顔
シナモンをまぶし社会に 卒業す




北川美美
先生が泣いているなり卒業歌
まなざしは宙にありけり卒業歌
卒業や校門で待つオートバイ
キネマ「卒業」永久に晩夏を告げわたる

2016年5月6日金曜日

平成二十八年春興帖番外・卒業帖 第六 (西村麒麟・竹岡一郎)



西村麒麟
船の子も自転車の子も卒業式
卒業や二人で運ぶ長机
卒業や自動販売機がボロで
それほどの歌詞にあらねど卒業歌
何やかや持つて帰るや卒業生



竹岡一郎
卒業や校舎裏なる殴打音
卒業式生徒指導室の小火(ぼや)
卒業なにそれ退学の少女のみ美し
校庭に瞋りを埋めて卒業す
卒業式果てラブホテル混んでゐる
卒業の茶髪かをるを鬼が嗅ぐ
僕吊る僕いまも校舎に卒業せず

2016年4月29日金曜日

平成二十八年春興帖番外・卒業帖 第五 (小沢麻結・堀本 吟)



小沢麻結
ひとことを幾度さらひ卒業式
卒業や今一度部室へ回り
仲良くもなきが肩抱き卒業式




堀本 吟
桜咲き上級生は去りにけり
卒業やパイプの椅子と鉄パイプ
革ジャンを制服に替え卒業す
さびしいな友達がなく職がなく
卒業シーズン終わって薔薇が半額に
卒業の式あっけなしチューリップ
にっぽんの票田として卒業生
人生に卒業は無し死はあれど
日月に終わりはないが卒業す
亡父(ちち)曰く亡母(あれ)はいまだに女学生

2016年4月22日金曜日

平成二十八年春興帖番外・卒業帖 第四 (網野月を・浅沼 璞・石童庵)




網野月を
卒業生四年熟成ものワイン
初花の振袖スーツ映えにけり
研究室に角瓶一つ春の宵
送られる卒業生と送る師と
二日後の校舎春光のみ充ちる
寂しさや師は前を向くしかない
年度末来月は未来人来る




浅沼 璞
卒業の看板ありき映画館
紅白梅送辞答辞図鑑賞す
またがつて古木とともに卒業歌




石童庵
卒業す紅萌ゆる丘を背に
卒業す誰とも消息絶つ心算
未練などさらさらなくて卒業す



2016年4月15日金曜日

平成二十八年春興帖番外・卒業帖 第三  (真崎一恵・とこうわらび・曾根 毅・前北かおる)



真崎一恵((    )俳句会)
第二ボタン外し胸張り顔しかめ
春の雨希望の緑空高く
人波を撫でて帰った春の夕
ポケットの中に鍵なし春浅し
卒業の日に友の数倍増す




とこうわらび((    )俳句会)
学生の皮をはぎ取る春一番
雪解けや別れの日まであと一歩
学び舎の新陳代謝春来たる
卒業や取り残されたパイプ椅子
桜咲き何事もなく時の過ぐ




曾根 毅(「LOTUS」同人)
納屋の土筆卒業の日は寝て過ごし





前北かおる
一堂に再び会し卒業す
十二年歌ひし校歌卒業す
卒業のエスカレーター自動ドア





2016年4月8日金曜日

平成二十八年春興帖番外・卒業帖 第二 (川嶋ぱんだ・天野大)



川嶋ぱんだ ((    )俳句会、船団の会)
学籍がなくなるという春近し
別れというほどでもなくて卒業す
門出というほどでもなくて卒業す
それぞれにスーツの第二ボタンかな
それぞれの角度から見る桜かな
それぞれの水のその後の桜咲く



天野大 ((    )俳句会)
風光る川の流れの速きこと
砂時計ひっくり返すつくしんぼ
引き出しの第二ボタンに口づけを





2016年4月1日金曜日

平成二十八年春興帖番外・卒業帖 第一 (杉山久子)





杉山久子 
卒業の朝の真白きマグカップ
卒業す音楽室の窓鳴らし
雲追うてゆく雲のあり卒業歌