ラベル 陽 美保子 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 陽 美保子 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年3月24日金曜日

 平成二十九年 歳旦帖 第六 (小沢麻結・池田澄子・陽美保子・内村恭子・小野裕三)



小沢麻結
踏まれたるより光初め霜柱
けんちんの大鍋煮ゆる初閻魔
初不動火の粉火柱湧き上がり


池田澄子
二人して寒しと月を斜め上
ひかり眩しく愛は煩く返り花
蓮根の穴の空気を解放す
馬車馬の昔ありけり雪へ雪
ぼたんゆき神よ父よと口に出さず


陽美保子(「泉」同人)
骰子の一の目の出る淑気かな
絵双六京の名所に休みけり
絵双六狂歌を詠めと言はれても


内村恭子 (天為同人)
青空を忘れがちなり年用意
羽子板市異国の王女描かれて
数へ日や神保町に山支度
大きからむ洪積世の初日の出
次々とピザ焼き上がる四日かな


小野裕三(海程・豆の木)
頭骨標本日陰に連なり大晦日
宝舟遠来しんじつ笑うは誰
骨董市に王様の首冬木立




2016年11月25日金曜日

平成二十八年 合併夏・秋興帖 第十二 (中西夕紀・陽 美保子・渕上信子・水岩 瞳)



中西夕紀
悪霊になるにも位夕茅萱
異国にて二胡弾く人よ流れ星
船の灯やしばらく霧を胸に抱き



陽 美保子(泉)
夏深し水底の日は月に似て
蟬しぐれ石山の石老いにけり
台風の去りたる鷺の声にごる
幣に裁つ白紙一束豊の秋



渕上信子
氷川丸霧の記憶の引揚者
外は霧ロビーの時計スケルトン
霧襖何か大事なこと言はれ



水岩 瞳
浄蓮の滝を見送るサリーかな
緑蔭のトルストイ足で押す乳母車
芭蕉庵八百屋お七の愛に失す
砂糖きび噛めば与那国トング田
遺憾なるテレビ番組寒露かな
細くとも秋刀魚食べねば始まらず
映画ならここでジ・エンド秋時雨


2016年7月1日金曜日

平成二十八年花鳥篇 第四 (陽 美保子・曾根 毅・前北かおる)



陽 美保子(「泉」同人)
水差しに水のしづもり初桜
仙骨を立てて座つて朝桜
夕桜硝子の中に本古りて




曾根 毅
生のはじめの暗きに生まる桜かな
生の途中のくらきに触るる桜かな
生のおわりの昏きに死ぬる桜かな




前北かおる(夏潮)
さらはれし帽子ころがる干潟かな
子に何か訴へられてサングラス
時きたり汐干狩場を開放す



2016年5月6日金曜日

平成二十八年春興帖 第八 (陽 美保子・石童庵・池田澄子・坂間恒子)



陽 美保子(「泉」同人)
青空に雪掲げゐる古巣かな
啓蟄の食ひ汚したる口ひとつ
雪割りの音に公案解けにけり



石童庵
幹にサルノコシカケさくら古木咲く
血脈を離れ法脈花は葉に
ふきのたう純愛なのにゲス呼ばはり



池田澄子
鬼は外外なら星も見えるでしょう
わたくしの髪が好きらし春一番
昇りゆく春の樹液のこころもち
前をゆく人の小声の歌も春
三鬼忌の猫が引っ掻く木の根っこ 
 


坂間恒子
菠薐草どこかで世界が裏返る
蕗の薹虚子の系譜のねむらない
蝮蛇草ほそるばかりの脊柱管






2016年2月26日金曜日

平成二十八年歳旦帖 第六 (下坂速穂・岬光世・依光正樹・依光陽子・竹岡一郎・陽 美保子)



下坂速穂(「クンツァイト」「屋根」)
ああ云へばかう云ふ人と年忘
人呼んで雀を呼んで初箒
葉は空の水の匂ひや初昔



岬光世 (「クンツァイト」「翡翠」)
結ひ上げし髪に挿頭すや初御空
七草菜丈を同じうしてゐたる
女正月御礼参りの絵馬買うて



依光正樹 (「クンツァイト」主宰・「屋根」)
読まれたる店の字ひとつ年詰まる
座はりたる子を立たしめて御慶かな
消印のなきがうれしき賀状来る



依光陽子 (「クンツァイト」「屋根」「ku+」)
大年をひらかんとして撫子は
映るものつぎつぎ飛んで初景色
土壁を離れ二日の夕日かな 



竹岡一郎(鷹)
鈍(のろ)の石抱くや明日は手毬となれ
竹馬の跨ぐ生者やビルや首都
万歳の途まぼろしの屋台群れ
ふるさとの迷路を呪ふ手毬唄
初写真なるや曾祖母振袖着て
手毬子のつくものは我が眼鼻得し
若菜野をサーカスの亀まづ踏みしめ




陽 美保子(「泉」同人)
畦の木を去りゆく年の雪煙
さまざまに旅せし年も初昔
赤松は夕日の木なり餅あはひ





2015年10月16日金曜日

平成二十七年秋興帖 第五 (内村恭子・小林かんな・石童庵・陽 美保子・堀田季何・小沢麻結)



内村恭子 (「天為」同人)
秋ともし壁をはみ出す天使像
法王が眼鏡を買ひに秋うらら
秋光の差し込む中庭の木椅子
要塞の獅子老いにけり霧の夜
秋空のいつもどこかに羽音して



小林かんな
朝の陽を背中に立ち上がる鹿は
うっとりと日に当たりつつけむり茸
秋光のところどころで手をつなぐ
ふもとには露草ひらく火口かな
とちゅうまで秋の燕と同じ道



石童庵
閑けさや草葉隠れに鹿威
分け入つても分け入つても茸無く
遅れじと水戸は皆死すすいつちよん



陽 美保子(「泉」同人)
吾亦紅みんな帰つてしまひけり
秋風や立てて血を抜く青魚
一幹を蔓固巻きに猟期来



堀田季何(澤)
豊年や光の兵器設計図
アーリントン国立墓地を穴惑
星月夜水漬く屍のかさなれり



小沢麻結
秋燕湖面を打ちて光蒔く
身に沁むや記録の中に予知夢あり
実紫彼女は俳句始むるか