ふけとしこ手びねりの仏ちよこんと初明り
正月の大きな月を仰ぎけり
読み上げる歌留多に動く猫の耳
金子兜太氏追善 補遺
望月士郎きょお!と幻聴夜汽車のような宿に眠る
「おおかみに」と刻む春昼の巨きな石
永き日の「遊牧集」で掻く背中
ふけとしこ手びねりの仏ちよこんと初明り
望月士郎きょお!と幻聴夜汽車のような宿に眠る
山本敏倖「良く来た、良く来た」右手を挙げて春と逝く
依光正樹魚島や石の礫が届くだらうか
依光陽子糞の中に黒き種あり兜太逝く
関悦史誤報後の春本当に兜太亡し
長嶺千晶造型壊すとき狼の山河
大井恒行かの春に近代主義者だって?と詰め寄る兜太
堀本吟現代俳句協会入会当時二十余年前の思い出
小林かんな旅立ちを知らず野の花摘んでいる
渡邉美保声に出す兜太の一句春の雲
加藤知子【訂正】
小沢麻結芽吹山秩父音頭の七七五
竹岡一郎智慧の夜や眉間は春の焚火照り
小野裕三兜太なき春孤島も斜面も青くあり
早瀬恵子梅咲いて骨太のひかり瞑するや
杉山久子おおかみとともに行きたる野の青し
神谷 波庭の雪解けしばかりに兜太逝く
真矢ひろみ
水岩瞳「戦争の影が・・」と兜太の年賀状
渕上信子庭中の梅の盛りや兜太の訃
池田澄子秩父鉄道添いの去年の桜よあぁ
中山奈々
木村オサムおおかみが無骨な岩に立っていた
浅沼 璞火事一つ蛍一つをならべゆく
辻村麻乃斑雪山
曾根毅狼の冷たくなりし黒眼鏡
月野ぽぽな(海程)天に星地に梅ともし兜太逝く
五島高資片目にて笑む師のなみだ風光る
北川美美
海程秩父道場にて兜太氏は旅館側で用意した二つに裁断されたバナナを片手摑みに登場。2015年の春だった。
島田牙城金子兜太逝くや春星ふくらませ
豊里友行海ほど脈打つ兜太のほうれん草
加藤知子春落暉大先生の掌ありしが
仲寒蟬どこまでも狼を追ひつづくべし
神山姫余春一番兜太が鮫に乗ってゆく
佐藤りえ草の舟乗らうかさうか手を貸さう
高山れおなさほひめ と つれだつ まかみ ふりむかず
筑紫磐井
北天に架かるあれがかくも静かに二月の記憶 兜太星
第83回海程秩父俳句道場(2015年4月5日(日)) 写真:北川美美
![]() |
| 左より金子兜太・関悦史・筑紫磐井 |
![]() |
| 左より、安西篤・筑紫磐井・金子兜太・関悦史 背後ホワイトボードの句(金子兜太:老人は青年の敵 強き敵 (筑紫磐井)) |